耕不尽

 このブログの名前です。『耕不尽』という言葉そのものは固定ページの方で説明しているのでご参照ください。ブログ名にするくらいなので管理人の私が強い経験の中から得られたものだと思われるかも知れません。しかしこれは全く突然に私の中に入ってきたものなのです。

 私は社会人2年目に結婚しました。90年代前半のことです。当時の典型的な結婚式で仲人は会社の上司、参列者は双方から40人位、場所はホテルでした。仲人・主賓の挨拶、乾杯、お色直し・キャンドルサービス・ケーキカットと続き、友人からのメッセージ・余興を終えいよいよ締めとなる新郎新婦・両家代表の挨拶となりました。私は未熟であったので定型の極めてシンプルなものが精一杯でしたが父は違っていました。もともとスピーチ好きなのでしょう、言葉使いは感謝でいっぱいでしたが、いよいよワシの出番とばかりに練りに練った挨拶を展開しました。この中に『耕不尽』が出てくるのです。

 若い二人をどうぞ見守っていただきたいというくだりで「我が家の床の間に『耕不尽』とありまして若い二人にも・・・」と出てきました。私は『???』です。20年近く暮らした家の中にそんなものが掛かっていたのを全く知りませんでした。後に実家に帰り確認すると確かにそれはありました。色紙のようなものに書かれ額に入っていました。達筆でまた『尽』も旧字体の『盡』でしたので読めずに気に留めなかったのだと思います。

 私は少々ずぼらなところがあると自覚しているので、その戒めとして座右の銘のようなものを尋ねられた時は『継続は力なり』のようにコツコツ努力を続けるような名言を返していました。しかし実はこんなに近くに『継続して努力し、そしてそれは尽きることがない』という言葉があったのです。遅ればせながらも気付きから四半世紀が過ぎました。これからも大切にして、人生を振り返った時に「あの言葉は自分を支えてくれたな」と思えると嬉しいです。

コメントを残す