とはいえ

 中小企業向けのビジネスコンサルティングをしています。ビジネス上の課題は多岐にわたり、また企業ごとに事情や環境、時には人間関係、歴史や企業文化が複雑に絡み合っています。また大企業と比べて経営上の体力が乏しいこともあり課題解決のプロセスでの失敗はダメージが大きいように感じます。

 ビジネスコンサルティングの他にキャリアコンサルティングを中心とした対人支援もしています。こちらはさらに相談者の背景が複雑で隠れているものもあれば、見つけきれないものもあります。そしてプロセスでのダメージはあってはならず細心の注意を必要とします。

 大企業においては「こうあるべき」「こうなるはず」との主張が強いような気がします。私自身も大企業に長く勤めていましたのでその傾向がありました。課題に対して調査・分析し、対策立案・検証、実装・効果確認、標準化と教科書に出てくるようなプロセスを踏み、原理原則に基づいた活動を展開します。またその道のりも最短最速を選ぶよう染み付いていました。社内外の理解を得るためにも必要だったのかも知れません。

 しかし中小企業や個人に対してはそうはいきません。一般的な解決策や原理原則だけを振りかざしてもそれらがピタッとはまることはまずありません。支援どころか誰もハッピーになりません。それくらい複雑で難解で特異性を感じています。そこで自分自身に問いかけるようにしています。

 『とはいえ』

 答えはこれだろう、自信はある。『とはいえ』これは本当にこの企業、この人に当てはまるのか?今なのか?理解されるのか?実行できるのか?という感じです。私にとって寄り添うときのキーワードのような言葉です。コンサルティングとは『とはいえ』からが本当の仕事のように思います。