キャリア形成

 ここ数年になって「キャリア」という言葉を聞くようになり、私自身も使うようになりました。少し澄ました響きがあり、使った後にインテリぶったように捉えられることがあります。厚生労働省HPでは「キャリア」について「過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖」と紹介されています。人生100年時代を迎え、定年延長や年金支給年齢引き上げを推進するためにも職業人としての充実を強く勧めているのでしょう。

 「キャリア形成」とは能動的にキャリアを作ることを意味しますが、私が就職した頃にはこのような発想はありませんでした。それでも30年のサラリーマン生活を振り返るとそれなりのキャリアが形成されており現在のコンサルティング業に強く繋がっています。私自身は何も考えずひたすら目の前の仕事に取り組んでいたことしか思い出せませんが、人と機会に恵まれたおかげだと思います。一方、もっと早く「キャリア形成」の意義を知り、自身やメンバーの育成に取り込められたら良かったのにとも思います。

 この30年で職場環境は大きく変わりました。それでも価値観はそれほど大きく変わらなかったように思います。それは私がキャリア形成できた一因にもなったと思います。しかし現在はどうでしょうか。職場環境はこれまでよりはるかに速いスピードで変化し、価値観すらも変化しているように思います。先輩から受け継いできたものが有効ではなくなる不安もあります。リカレント教育やリスキリングといった言葉をよく聞くのもその表れではないでしょうか。メンバーの育成を振り返ると「あれでよかったのか」と内省し、罪悪感を感じることすらあります。

 昨年対人支援の国家資格の受験に失敗した話を書きました。仲間の助けもあって今年なんとか合格することができました。資格所得を機にやり残した仕事としてキャリア形成支援をしていきたいと考えています。一緒にやってきたメンバーや同じような境遇の方々が激動の時代においてもイキイキと働き続けられる一助となればとの思いです。