以前はニュースなどでしか聞きませんでしたが、最近は私の周りでも「うちにも退職代行からの連絡が来た」という声が聞かれるようになりました。退職代行業者は既に100社以上あり、今後は退職のスタンダードになるという見方もあるそうです。それでも是非を問う議論は終わりがないようです。
活用するケースは大きく分けて①辞めることで抵抗や嫌がらせを受けている②辞めることを言い出しにくい③面倒な手続きを代行してほしい、ではないでしょうか。私は2度の退職経験があり、いずれも活用しませんでしたが、どちらかというと退職代行アリと感じています。サービスの実態はともかく、必要性についてそれぞれのケースでみていきたいと思います。
まず①のケースですが、単純に退職を認めないケースや退職の際して給与の未払い、有休の取得拒否、必要手続きの遅延など嫌がらせを受けることがあるそうです。こんなケースで元々立場の弱い従業員が会社と対峙するのは辛くて仕方がないと思います。私でもサービスを使いたくなります。
次にケース②ですが、私はこれが最も多いのではないかと感じています。組織に入ると上司を含めお世話になった方々います。また一緒にプロジェクトに取り組んだ同僚やプライベートを共にした仲間がいます。こういう方々と関係を持ちながら、一方で退職の交渉や手続きをするのは心苦しいと思うのではないでしょうか。中には申し訳ないと思う人もいるかも知れません。実は私もこの感情はありました。
また退職を打ち明けた時「何か悩んでいるの?話し合わないか?」などとすり寄られるような引き留めにあうのもこのケースだと思います。相手は親身になっていると思うのですが、本人にとっては考え抜いた結論なので時すでに遅しです。この局面で納得してもらうよう話すのは本当に辛いです。相手はお世話になった方々で、もともと対立した関係ではないのですから。
最後は③のケースですが、何度か転職をした人が活用するのではないかと思います。次の仕事が決まっていてそこに集中したい人にはうってつけだと思います。去る企業とのやり取りだけでなく、役所への届出など次のステップへのサポートもついていればとても頼りになると思います。
これらのケースのように退職は手間がかかり退職者にとってのロスとなります。それを軽減するサービスが生まれるのは自然なことだと思います。それほど日本ではめんどくさいことなのでしょう。
欧米のようにとは言いませんが日本ももう少し身軽にキャリアを選択できるようになると良いなと思っています。逆に言うと日本には大きな人的資源が掘り起こされる可能性があるとも考えています。天職に巡り合う機会が増え、結果として社会全体で適材適所が進むことを期待しています。退職代行もひとつのきっかけとなって人の流動化が進むことを願っています。退職代行アリと言いつつ発展的に需要がなくなり、軽やかにキャリア形成ができる社会を楽しみにしています。